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訪問診療

訪問診療とは、病気や障がいを抱え、通院が困難な方のご自宅に医師が定期的に訪問し、診察や治療、健康管理などを行う医療サービスです。

どんな人が利用できるの?

訪問診療の対象となるのは、原則として、ご自身で医療機関に通うことが難しい方です。具体的には、以下のような方が利用されています。

  • 自宅で療養中の高齢者の方
  • がんの末期など、重い病気を患っている方
  • 退院後の在宅ケアが必要な方
  • 認知症や精神疾患により通院が難しい方
  • 障がいがあり、外出が困難な方

訪問診療で受けられること

具体的には、訪問診療で次のようなことを行います。

  • 定期的な健康チェックと診察: 血圧や体温の測定、問診などを行い、病状や健康状態を把握します。
  • お薬の処方: 必要な薬を処方し、調剤薬局の薬剤師がご自宅までお届けする場合もあります。
  • 点滴や注射、医療処置: 褥瘡(床ずれ)の処置や、胃ろう、尿道カテーテルなどの管理を行います。
  • 緊急時の対応: 容態が急変した際には、24時間365日体制で対応し、必要に応じて入院の手配なども行います。
  • 他の医療・介護サービスとの連携: 訪問看護や訪問リハビリ、ケアマネジャーなどと協力し、チームでサポートします。

訪問診療と往診の違いは?

「訪問診療」と似た言葉に「往診」がありますが、この2つは目的が異なります。

  • 訪問診療: 医師があらかじめ計画を立て、定期的にご自宅を訪問して診療を行います。
  • 往診: 患者さんの容態が急変した際など、必要な時に医師が臨時でご自宅へ向かい診療を行います。

訪問診療を受けたい場合は、主治医にご相談ください。藤沢病院では、藤沢地域を中心に約80世帯に訪問診療を実施しています。

骨粗しょう症

骨粗鬆症の主な原因は女性ホルモンの減少や加齢です。そのほか、骨を弱くする原因となる病気や薬剤、栄養バランスの偏りや遺伝、生活習慣なども関係しています。骨粗鬆症になっても痛みはありませんが、背中や腰が曲がってきたり、身長が縮んできたり、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。特に太ももの付け根の骨の骨折や背骨の骨折は生活に支障を及ぼし寝たきりになってしまう危険が高まり寿命も短くなることが分かっています。

「ほねてん」チームの活動紹介

当院では皆さまが高齢になっても移動能力や生活機能を保つことができるように、また、普通の生活や介護において病的な骨折を生じないように、骨の点検「ほねてん」活動をすすめています。

当院の「ほねてん」チームは、医師、看護師、薬剤師、作業療法士、栄養士、放射線技師、事務員と多職種から構成されており、お互いに連携を取りながら患者様の骨粗鬆症の予防と改善、骨折の予防をお手伝いさせていただきます。

入院された50歳以上の患者様全員に骨の点検(ほねてん)を提案

入院中に医師をはじめとする「ほねてん」チームが患者様の骨粗鬆症と骨折のリスクを評価し、必要に応じて骨粗鬆症治療の開始のご提案や、すでに行われている骨粗鬆症治療内容の確認をします。また、食事、身体の動き、現在のお薬など様々な視点から転倒予防を行い、入院中から退院後も継続して骨折を予防していきます。

外来での提案

ご自身やご家族の骨の健康に関心を持っていただけるように、ポスターやパンフレットで情報提供させていただいています。検査や治療についてお聞きになりたいことがありましたら、ご気軽に外来スタッフにお声をかけてください。

骨折リスクの評価方法

骨折のリスク評価方法には、病歴、診察、血液尿検査、骨評価(レントゲン・骨密度(1))、骨折リスク評価ツール「FRAX」(2)などがあります。

骨密度(1):骨量測定には様々な種類がありますが、どの検査も痛みはなく数分で測定できます。腰椎(背骨)や大腿骨近位部(足のつけ根)といった、骨粗鬆症性の骨折が起こりやすい部位の骨密度をデキサ法(DXA)で測定するのが最適です。当院ではDXA法で骨密度を測定しています。

骨折リスク評価ツール「FRAX」(2):世界保健機関 WHO が開発した「FRAX」は、年齢、性別、喫煙などの12の質問項目に回答すれば(12番目の質問「大腿骨頸部BMD」未記入でもよい)、今後10年間の骨折発生確率が自動的に算出されます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、または1晩に30回以上ある場合に診断されます。

どんな症状があるの?

ご自身で気づきにくい場合が多いですが、以下のような症状が特徴的です。

【睡眠中の症状】

  • 大きないびき
  • 呼吸が止まる、または途中で「フガッ」といびきが再開する
  • 寝汗をかく
  • 熟睡できない、夜中に何度も目が覚める

【日中の症状】

  • 強い眠気、居眠り
  • 集中力の低下
  • 倦怠感(だるさ)、疲労感
  • 起床時の頭痛、口の渇き

なぜ起こるの?

睡眠時無呼吸症候群は、主に以下の2つのタイプに分けられます。

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)

睡眠中に、空気の通り道である上気道(のど)が狭くなることで起こります。肥満、扁桃腺やアデノイドの肥大、顎が小さい、舌が大きい、などが原因となります。日本人の睡眠時無呼吸症候群の約9割がこのタイプです。

2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)

脳からの呼吸指令がうまくいかないために、呼吸が止まるタイプです。心臓の病気(心不全)や脳の病気などが原因となることがあります。

放置するとどうなるの?

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。

  • 高血圧: 呼吸が止まることで体内の酸素濃度が低下し、交感神経が活発になり血圧が上がります。
  • 糖尿病: 睡眠不足がインスリンの効果を弱め、血糖値が上がりやすくなります。
  • 不整脈、心不全: 心臓に大きな負担がかかります。
  • 脳卒中(脳梗塞): 血圧の変動が脳血管にダメージを与えます。

また、日中の強い眠気によって、交通事故や労働災害を引き起こす危険性もあります。

治療法

睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療によって改善が期待できます。

  • CPAP療法: 睡眠時に専用のマスクを装着し、圧力をかけた空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぐ治療法です。最も一般的な治療法で、高い効果が期待できます。
  • マウスピース: 下顎を前方に固定し、気道を広げるための専用のマウスピースを装着します。軽症の方に適しています。
  • 外科手術: 扁桃腺の切除や、鼻の骨を削る手術など、気道の閉塞を物理的に解消する手術を行う場合があります。
  • 生活習慣の改善: 肥満が原因の場合は、減量することが重要です。また、飲酒や喫煙も症状を悪化させるため、控えることが推奨されます。

「いびきがうるさい」と家族に指摘されたり、日中の眠気に悩まされたりしている場合は、ご相談ください。当院では、約150名の方がCPAP治療をしています。

高血圧症

高血圧症とは、安静時の血圧が正常値よりも高い状態が慢性的に続く病気です。血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のこと。この圧力が高い状態が続くと、血管や心臓に大きな負担がかかります。

日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室で測った血圧が収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。

なぜ高血圧になるの?

高血圧のほとんどは、特定の原因がはっきりとわからない「本態性高血圧」です。これは、遺伝的な体質に加えて、以下のような生活習慣が深く関わっていると考えられています。

  • 塩分の摂りすぎ
  • 肥満
  • 運動不足
  • 喫煙・過度の飲酒
  • ストレス

また、腎臓や内分泌系の病気が原因で起こる「二次性高血圧」もあります。

放置するとどうなるの?

高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、放置すると血管が徐々に傷つき、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。

  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血): 脳の血管が詰まったり、破れたりします。
  • 心臓病(心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞): 心臓に負担がかかり、機能が低下します。
  • 腎臓病(腎硬化症): 腎臓の血管が傷つき、機能が低下します。
  • 動脈硬化: 血管が硬く、もろくなります。

これらの病気は、命にかかわるだけでなく、生活の質を著しく低下させることがあります。

治療法

高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が中心となります。

  1. 生活習慣の改善:
    • 減塩: 1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが目標です。
    • 適正体重の維持: BMI(体格指数)を25未満にすることが推奨されます。
    • 適度な運動: 有酸素運動を中心に、毎日30分以上を目標に行いましょう。
    • 節酒・禁煙: 飲酒量を減らし、喫煙は完全にやめましょう。
    • 十分な睡眠とストレス管理:
  2. 薬物療法: 生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合、薬で血圧をコントロールします。医師の指示に従い、正しく服用することが大切です。

高血圧は、一度診断されたら生涯にわたる管理が必要です。定期的に血圧を測り、自分の健康状態を把握することが、合併症を防ぐための第一歩です。

糖尿病

糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)濃度が高い状態が慢性的に続く病気です。通常、食事から摂取したブドウ糖は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。しかし、このインスリンの働きが不十分になったり、分泌量が少なくなったりすると、血糖値が高いままになってしまいます。

なぜ糖尿病になるの?

糖尿病は大きく分けて2つのタイプがあります。

  • 1型糖尿病: 膵臓のβ細胞が自己免疫の異常などによって破壊され、インスリンがほとんど作られなくなるタイプです。子どもや若年者で発症することが多いですが、大人になってから発症することもあります。
  • 2型糖尿病: 糖尿病全体の9割以上を占めるタイプです。遺伝的な体質に加えて、肥満、運動不足、ストレス、不規則な食生活などの生活習慣が深く関わって発症します。

どんな症状があるの?

初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。しかし、血糖値が高くなると以下のような症状が現れることがあります。

  • 喉が渇く、水をたくさん飲む
  • 尿の回数が増える
  • 体重が急に減る
  • 疲れやすい、だるい
  • 目がかすむ
  • 手足がしびれる

糖尿病を放置するとどうなるの?

糖尿病は、高血糖状態が続くことで全身の血管にダメージを与え、様々な合併症を引き起こします。特に注意すべきなのは、三大合併症と呼ばれるものです。

  • 糖尿病性網膜症: 目の網膜にある血管が傷つき、視力低下や失明に至ることがあります。
  • 糖尿病性腎症: 腎臓の血管が傷つき、機能が低下します。進行すると人工透析が必要になります。
  • 糖尿病性神経障害: 手足の神経が傷つき、しびれや痛み、感覚の鈍麻などが起こります。

これら以外にも、脳梗塞や心筋梗塞、足病変(足の壊疽)などのリスクが高まります。

治療法

糖尿病は、一度発症すると完治は難しい病気ですが、適切な治療と自己管理で、合併症を防ぎ、健康な生活を送ることができます。

  1. 食事療法: 摂取エネルギー量や栄養バランスに配慮した食事を規則正しく摂ります。
  2. 運動療法: 有酸素運動を中心に、毎日継続して行います。
  3. 薬物療法: 食事療法や運動療法で血糖値が十分に下がらない場合、内服薬やインスリン注射などで血糖値をコントロールします。

糖尿病は、早期発見と早期治療が非常に重要です。健康診断などで血糖値が高いと指摘された場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、タバコの煙などの有害物質を長期間吸い込むことによって、肺に炎症が起こり、空気の通り道である気管支が狭くなったり、酸素と二酸化炭素を交換する肺胞が壊れたりする病気です。

以前は「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていましたが、現在ではこれらを総称してCOPDと呼びます。多くの場合、喫煙習慣がある中高年の方に発症するため、「肺の生活習慣病」とも言われています。

どんな症状があるの?

COPDの症状は徐々に進行するため、初期には加齢によるものと勘違いされがちです。

  • 慢性的な咳や痰: 特に朝起きた時にひどい咳や痰が出ます。
  • 息切れ: 階段や坂道を上る時、少し動いただけで息切れがするようになります。
  • 喘鳴(ぜんめい): 呼吸時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった音がすることがあります。

病気が進行すると、着替えや入浴などの日常生活の動作でも息切れを感じるようになり、生活の質が著しく低下します。

なぜCOPDになるの?

COPDの最大の原因は喫煙です。喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われており、患者さんの90%以上に喫煙歴があります。タバコの煙に含まれる有害物質が肺を傷つけ、気道の炎症や肺胞の破壊を引き起こします。

また、受動喫煙や大気汚染、粉じんなども原因となることがあります。

放置するとどうなるの?

COPDは、一度壊れてしまった肺の組織を元に戻すことはできません。そのため、放置すると呼吸機能が低下し続け、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。

  • 肺炎や気管支炎: 呼吸器感染症にかかりやすくなります。
  • 心臓病: 肺への負担が増すことで、心不全や心筋梗塞などを引き起こすことがあります。
  • 肺がん: 喫煙歴があるため、肺がんのリスクも高まります。

治療法

COPDの進行を遅らせ、症状を和らげるためには、早期からの治療と自己管理が重要です。

  1. 禁煙: 何よりもまず、タバコをやめることが最も重要です。禁煙外来などを利用することも有効です。
  2. 薬物療法: 気管支を広げる吸入薬や、痰を出しやすくする薬などを使用し、症状をコントロールします。
  3. 呼吸リハビリテーション: 呼吸筋を鍛える運動や、正しい呼吸法を身につけることで、日常生活での息苦しさを軽減します。
  4. 在宅酸素療法(HOT): 病状が進行し、日常生活を送るために酸素吸入が必要になった場合に行います。

慢性的な咳や痰、息切れがある方は、自己判断で済まさず、一度医療機関を受診し、呼吸機能検査を受けることをお勧めします。当院では約40名の方が在宅酸素療法を行っています。

高脂血症(脂質異常症)

高脂血症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が基準値よりも多い状態が続く病気です。最近では、脂質の種類やバランスの異常も重視されるため、「脂質異常症」とも呼ばれています。

血液中の脂質は、エネルギー源として重要な役割を果たしていますが、多すぎると血管にこびりつき、動脈硬化の原因となります。

どんなタイプがあるの?

脂質異常症は、血液検査の結果によって主に以下の3つのタイプに分けられます。

  • 高LDLコレステロール血症: 「悪玉」コレステロールが多い状態です。LDLコレステロールは血管の壁にたまり、動脈硬化を促進させます。
  • 高トリグリセライド(中性脂肪)血症: 血液中の中性脂肪が多い状態です。エネルギーとして使われずに余ったブドウ糖や脂肪が中性脂肪として蓄積されます。
  • 低HDLコレステロール血症: 「善玉」コレステロールが少ない状態です。HDLコレステロールは血管壁のコレステロールを回収する役割を担っており、少ないと動脈硬化が進みやすくなります。

なぜ高脂血症になるの?

高脂血症の主な原因は、食生活や運動不足などの生活習慣です。

  • 食生活: 肉類や揚げ物などの動物性脂肪、糖分の多い食事、アルコールの摂りすぎ
  • 運動不足: 消費エネルギーが少なくなり、脂質が蓄積されやすくなります。
  • 肥満: 特に内臓脂肪の蓄積は、脂質代謝の異常を引き起こします。
  • 遺伝: 家族に脂質異常症の方がいる場合、体質的に高くなる傾向があります。

放置するとどうなるの?

高脂血症も高血圧症と同様に、自覚症状がほとんどありません。しかし、知らない間に全身の動脈硬化を進行させ、以下のような重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。

  • 狭心症、心筋梗塞: 心臓の血管が詰まり、胸の痛みや呼吸困難を引き起こします。
  • 脳梗塞: 脳の血管が詰まり、麻痺や言語障害などの後遺症が残ることがあります。
  • 閉塞性動脈硬化症: 足の血管が狭まり、歩行時の痛みやしびれなどが起こります。

治療法

高脂血症は、生活習慣の改善と薬物療法で管理することが大切です。

  1. 食事療法:
    • 飽和脂肪酸(動物性脂肪)を減らす: 肉の脂身、バター、生クリームなどを控える。
    • 食物繊維を積極的に摂る: 野菜、海藻、きのこなどを増やす。
    • 魚を摂る: 青魚に含まれる不飽和脂肪酸は、コレステロールを下げる働きがあります。
  2. 運動療法: ウォーキングや水泳などの有酸素運動を、無理のない範囲で継続的に行いましょう。
  3. 薬物療法: 生活習慣を改善しても脂質の値が正常に戻らない場合は、医師の指示に従い、薬を服用します。

健康診断などで脂質の値が高いと指摘されたら、放置せずに医療機関を受診し、適切な治療と自己管理を始めましょう。

慢性心不全

心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態のことです。特に、この状態が数週間から数年かけて徐々に進行し、安定と悪化を繰り返しながら慢性的に続くものを「慢性心不全」と呼びます。

心不全は病気の名前ではなく、心臓の機能が低下した「症候群」、つまり様々な症状の集合体です。心不全が進行すると、息苦しさやむくみなど、日常生活に支障をきたす様々な症状が現れます。

どんな症状があるの?

心不全の代表的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 息切れ: 階段や坂道を上る、少し歩くだけでも息が切れる。進行すると、安静時や就寝時にも息苦しさを感じることがあります。
  • むくみ: 特に足の甲やすねがむくみやすくなります。
  • 体重増加: 体内の水分量が増えるため、急に体重が増えることがあります。
  • 倦怠感: 全身に十分な血液が送られないため、疲れやすく、だるさを感じます。

これらの症状は、風邪や疲労と勘違いされることも多いため、注意が必要です。

なぜ慢性心不全になるの?

慢性心不全は、様々な心臓病の最終的な姿として現れます。以下のような病気が原因となります。

  • 高血圧症: 心臓が常に高い圧力に逆らって血液を送り出すため、負担がかかり続けます。
  • 心筋梗塞、狭心症: 心臓の筋肉に血液が行かなくなり、心臓の機能が低下します。
  • 不整脈: 心臓のリズムが乱れ、効率よく血液を送れなくなります。
  • 弁膜症: 心臓の弁がうまく機能せず、血液の流れが滞ります。
  • 糖尿病、慢性腎臓病: これらの病気も心臓に負担をかけ、心不全の原因となります。

治療と自己管理

慢性心不全は、一度発症すると完治は難しいですが、適切な治療と日々の自己管理によって、症状をコントロールし、病気の進行を遅らせることが可能です。

  1. 薬物療法: 心臓の負担を減らす薬や、体内の余分な水分を排出する薬などを服用します。
  2. 食事療法: 塩分や水分の摂取量を制限し、心臓への負担を減らします。
  3. 運動療法: 医師の指示のもと、無理のない範囲で体を動かすことで、心肺機能を維持します。
  4. 自己管理: 毎日体重を測り、むくみや息切れなどの症状をチェックし、急な悪化に気づけるようにします。

慢性心不全の治療では、患者さんご自身が自分の体の変化に気づき、病気と向き合うことが非常に重要です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関に相談しましょう。

認知症

認知症とは、様々な原因によって脳の細胞が壊れてしまい、記憶力や判断力、思考力などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。加齢に伴う「物忘れ」とは異なり、経験全体を忘れてしまうことや、時間や場所の感覚がわからなくなることなどが特徴です。

認知症は単一の病気ではなく、その原因によっていくつかの種類に分けられます。

認知症の主な種類

  • アルツハイマー型認知症: 認知症の中で最も多いタイプです。脳にアミロイドβやタウといった異常なたんぱく質がたまることで、脳の神経細胞が壊れていきます。記憶障害から始まることが多く、徐々に進行します。
  • レビー小体型認知症: 脳内にレビー小体という異常なたんぱく質がたまることで起こります。幻視(実際にはないものが見える)、手足の震え、小刻み歩行などのパーキンソン病のような症状が見られることが特徴です。
  • 血管性認知症: 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、脳の神経細胞に十分な血液が届かなくなり、認知機能が低下します。障害を受けた場所によって症状が異なり、まだらな認知機能の低下が見られることがあります。
  • 前頭側頭型認知症: 脳の前頭葉や側頭葉の萎縮によって起こります。初期には、人格の変化や社会性の欠如、常同行動(同じ行動を繰り返す)などが現れることが特徴です。

認知症の主な症状

認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」に分けられます。

1. 中核症状

脳の機能障害によって直接的に現れる症状です。

  • 記憶障害: 新しいことを覚えられなくなったり、体験したこと自体を忘れてしまいます。
  • 見当識障害: 時間や場所、人の認識ができなくなります。
  • 実行機能障害: 計画を立てたり、順序立てて行動することができなくなります。

2. 周辺症状(BPSD: Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)

中核症状に加えて、本人の性格や置かれた環境などが影響して現れる症状です。

  • 徘徊: 目的もなく歩き回る。
  • 幻覚・妄想: 実際にはないものが見えたり、盗まれたと信じ込むなど。
  • 不安や抑うつ: 自分の変化に気づき、不安になったりふさぎ込んだりする。
  • 暴言・暴力: 周囲の状況が理解できず、混乱から怒りっぽくなる。

認知症の治療とケア

認知症には根本的な治療法はまだありませんが、進行を遅らせたり、症状を和らげるための薬物療法や非薬物療法があります。

  • 薬物療法: 認知症の進行を緩やかにする薬や、周辺症状を抑える薬が使われます。
  • 非薬物療法: 音楽療法、回想法、アロマテラピーなど、様々な療法が症状の緩和に役立つとされています。

認知症は、早期発見と早期診断が非常に重要です。本人やご家族が「おかしいな」と感じたら、一人で悩まずに、医療機関や地域包括支援センターに相談しましょう。周囲の理解と適切なサポートがあれば、穏やかな生活を送ることができます。

ヘリコバクター・ピロリ感染症

ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、主に胃の粘膜に生息するらせん形をした細菌です。この細菌は、胃酸という強い酸性の環境の中でも生き抜くことができ、慢性的な胃炎胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となります。

感染経路ははっきりと分かっていませんが、衛生環境が十分でなかった時代に、井戸水や家族内での食べ物の口移しなどを介して感染したと考えられています。現在、50歳以上の方の感染率が高い傾向にあります。

どんな病気を引き起こすの?

ピロリ菌に感染しても、必ずしも症状が現れるわけではありません。しかし、感染が長く続くと、以下のような病気を引き起こすリスクが高まります。

  • 慢性胃炎: ピロリ菌の感染が続くと、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。この状態を「萎縮性胃炎」と呼び、胃がんのリスクを高めることが分かっています。
  • 胃・十二指腸潰瘍: 胃や十二指腸の粘膜が深くえぐられる病気で、ピロリ菌が原因の多くを占めます。みぞおちの痛みや胸やけ、吐き気などの症状が現れます。
  • 胃がん: ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べて胃がんになるリスクが数倍高くなります。

検査と治療

ピロリ菌に感染しているかどうかは、胃カメラ検査と同時に行う「迅速ウレアーゼ試験」や、息を吐いて調べる「尿素呼気試験」などで調べることができます。

感染が確認された場合、ピロリ菌を排除するための「除菌治療」が行われます。この治療は、2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を1週間服用するもので、成功率は約90%と非常に高いです。

除菌治療のメリット

除菌治療に成功すると、以下のようなメリットがあります。

  • 胃・十二指腸潰瘍の再発予防: 多くのケースで、ピロリ菌が原因の潰瘍は再発しなくなります。
  • 胃がんリスクの低減: 萎縮性胃炎の進行が止まり、胃がんになるリスクを下げることができます。

除菌治療は、胃の病気を予防する上で非常に効果的な方法です。胃の不調が気になる方や、ご家族にピロリ菌感染者や胃がんの方がいる場合は、一度検査を検討してみることをお勧めします。

頭痛

頭痛は、誰もが一度は経験する身近な症状ですが、その原因や種類は様々です。大きくは、他の病気が原因で起こる「二次性頭痛」と、病気ではなく頭痛自体が問題となる「一次性頭痛」に分けられます。

一次性頭痛の主な種類

一次性頭痛は、命にかかわるような病気ではないものの、日常生活に支障をきたすことが多く、慢性頭痛とも呼ばれます。

1. 片頭痛

  • 特徴: ズキズキと脈打つような痛みが、頭の片側または両側に現れます。
  • 症状: 吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状を伴うことがあります。
  • 原因: 血管が急に拡張することが原因と考えられています。ストレス、睡眠不足、特定の食べ物などが引き金になることがあります。

2. 緊張型頭痛

  • 特徴: 頭を締め付けられるような、重くて鈍い痛みが、後頭部から首筋にかけて現れます。
  • 症状: 肩や首のこり、めまい、ふらつきを伴うことがあります。
  • 原因: デスクワークなどによる長時間同じ姿勢、目の疲れ、精神的なストレスなどが原因で、首や肩の筋肉が緊張して起こります。

3. 群発頭痛

  • 特徴: 片方の目の奥がえぐられるような、非常に強い痛みが現れます。
  • 症状: 目の充血や涙、鼻水などを伴うことがあります。
  • 原因: 脳の視床下部という部分の異常が関わっていると考えられています。特定の季節や時期に集中して発作が起こるのが特徴です。

二次性頭痛とは?

くも膜下出血や脳腫瘍など、他の病気が原因で起こる頭痛です。以下のような頭痛には注意が必要です。

  • 「これまでに経験したことのない、突然の激しい頭痛」
  • 「手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らないなどの神経症状を伴う頭痛」
  • 「発熱や首のこわばりを伴う頭痛」

これらの症状が一つでも当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診してください。

頭痛が起きたら?

慢性的な頭痛に悩んでいる場合は、**頭痛ダイアリー(日記)**をつけることをお勧めします。いつ、どんな時に、どんな頭痛が起きたかを記録することで、自分の頭痛のタイプや原因を知る手がかりになります。

頭痛のタイプによって、適切な対処法や治療法は異なります。自己判断で済ませず、一度医療機関に相談してみましょう。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因で詰まり、その先に血液が届かなくなることで、脳の細胞が壊死してしまう病気です。血管が詰まることで、脳は酸素や栄養を受け取れなくなり、わずか数分で脳細胞は死んでしまいます。脳梗塞は、脳の血管に起こる病気である「脳卒中」の中でも、約8割を占めています。

脳梗塞の主な種類

脳梗塞は、血管が詰まる原因によって主に以下の3つのタイプに分けられます。

  • アテローム血栓性脳梗塞: 動脈硬化によって太い血管の内側にコレステロールなどがたまり、血栓(血の塊)ができて血管が詰まります。
  • 心原性脳塞栓症: 心臓でできた血栓が血液の流れに乗って脳の血管に運ばれ、詰まってしまうタイプです。不整脈の一種である心房細動が原因となることが多く、重症化しやすいのが特徴です。
  • ラクナ梗塞: 脳の奥深くにある細い血管が詰まるタイプです。高血圧が主な原因で、小さな梗塞が多数できることもあります。

脳梗塞の症状は?

脳梗塞の症状は、脳のどの部分がダメージを受けたかによって異なります。一般的には、突然、以下のような症状が片側だけに現れることが多いです。

  • 顔面・手足の麻痺: 片方の顔や手足がしびれたり、力が入らなくなったりします。
  • 言葉の障害: ろれつが回らない、言葉が出てこない、他人の話が理解できないなどの症状が現れます。
  • 視覚の障害: 片方の目が見えにくくなる、視野が半分欠けるなどの症状が現れます。

これらの症状が一つでも当てはまる場合、一刻も早い治療が重要です。

脳梗塞の治療と予防

脳梗塞は、発症から治療までの時間が非常に重要です。詰まった血管を再開通させる治療(tPA療法)は、発症から4.5時間以内という時間制限があるため、疑わしい症状が現れたら、すぐに救急車を呼んでください。

脳梗塞は、生活習慣病との関連が深く、予防が最も大切です。

  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症の治療と管理
  • 喫煙、過度な飲酒を控える
  • 適度な運動とバランスの取れた食事
  • 不整脈(特に心房細動)の早期発見と治療

脳梗塞は、症状が一時的に消えてしまう「一過性脳虚血発作(TIA)」として現れることもあります。症状が消えたからといって安心せず、すぐに医療機関を受診しましょう。

脳出血

脳出血とは、脳内の血管が破れて出血し、脳の細胞が圧迫されたり、破壊されたりする病気です。血管が破れることで脳に血の塊ができ、周囲の脳組織を圧迫したり、浮腫(むくみ)を引き起こしたりするため、様々な症状が現れます。脳出血は、脳梗塞やクモ膜下出血と並び、脳卒中の一つです。

なぜ脳出血になるの?

脳出血の最大の原因は、高血圧です。高血圧の状態が長く続くと、脳の細い血管に大きな負担がかかり、血管の壁がもろくなります。このもろくなった血管が、血圧の急な変動などで破裂し、脳出血を引き起こします。

高血圧以外にも、以下のような原因が考えられます。

  • 脳動静脈奇形(AVM):生まれつき脳内の血管が異常に集まってできたもので、破裂しやすい性質があります。
  • アミロイド血管症:脳の血管にアミロイドというタンパク質が沈着し、もろくなる病気で、高齢者に多く見られます。
  • 抗凝固薬の使用:血液をサラサラにする薬を服用している場合、出血が起こりやすくなります。

脳出血の主な症状

脳出血は、多くの場合、突然発症します。出血した場所や量によって症状は異なりますが、以下のような症状が現れたら、すぐに救急車を呼んでください。

  • 突然の激しい頭痛:多くの場合、これまで経験したことのないような激しい頭痛が起こります。
  • 片麻痺(片側の麻痺):体の片側の手足に力が入らなくなったり、しびれが起こったりします。
  • 意識障害:出血量が多い場合、意識が朦朧としたり、昏睡状態に陥ったりすることがあります。
  • 吐き気や嘔吐:頭痛と同時に、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
  • 言語障害:ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状が現れます。

治療と予防

脳出血が疑われる場合、一刻も早く医療機関を受診することが重要です。発症直後から、手術によって血の塊を取り除く治療や、血圧をコントロールする治療などが行われます。

脳出血の再発を防ぐためには、原因となる病気を治療することが最も大切です。

  • 血圧の管理:医師の指示に従い、降圧剤を正しく服用し、血圧をコントロールしましょう。
  • 生活習慣の改善:塩分を控えた食事や適度な運動を心がけ、禁煙や節酒も重要です。
  • 持病の治療:糖尿病や脂質異常症など、動脈硬化を進行させる病気をしっかり治療しましょう。

脳出血は、適切な治療と予防によって再発リスクを下げることができます。健康診断で高血圧を指摘された場合は、放置せずに早めの受診を心がけましょう。

帯状疱疹

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)によって引き起こされる病気です。初めてこのウイルスに感染すると水ぼうそうになりますが、治った後もウイルスは体内の神経節に潜伏しています。

免疫力が低下したときに、潜伏していたウイルスが再び活性化し、神経に沿って移動することで、体の片側に帯状に赤い発疹や水ぶくれ、そして激しい痛みを伴うのが特徴です。

どんな症状があるの?

帯状疱疹の症状は、時間経過とともに変化します。

  1. 痛みから始まる: 最初は皮膚に何も症状がないのに、ピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛のような痛みが現れます。この段階で帯状疱疹と診断するのは難しく、他の病気と間違えられることもあります。
  2. 発疹や水ぶくれが現れる: 数日後、痛みのあった場所に虫刺されのような赤い発疹が現れ、それが水ぶくれになります。
  3. かさぶたになる: 水ぶくれは破れてただれたり、数週間かけてかさぶたになって治っていきます。

発疹は体の左右どちらか片側に、帯状に現れるのが特徴です。痛みは発疹が治っても残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。特に高齢者では、この痛みが慢性化しやすい傾向があります。

なぜ帯状疱疹になるの?

帯状疱疹は、加齢や疲労、ストレス、病気などで免疫力が低下したときに発症しやすくなります。免疫力が弱まると、潜伏していたウイルスを抑えきれなくなり、活動を再開してしまうためです。

特に50歳以上で発症することが多いですが、若い人でも過労やストレスが続くと発症することがあります。

治療と予防

帯状疱疹の治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が中心となります。早期に治療を開始するほど、痛みを和らげ、帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐ効果が高まります。発疹が現れてから72時間以内に治療を開始することが理想的とされています。

予防策としては、以下のようなものがあります。

  • 十分な睡眠と休養を取り、ストレスをためないようにする。
  • バランスの取れた食事を心がける。
  • 予防接種: 50歳以上の方を対象とした帯状疱疹の予防接種があります。これにより、発症リスクを下げたり、発症しても症状を軽くする効果が期待できます。

体に発疹や強い痛みがある場合は、早めに皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫システムの異常によって、本来なら体を守るはずの免疫細胞が、自分の関節を攻撃してしまう病気です。これにより、関節に炎症が起こり、痛みや腫れが生じます。この炎症が続くと、関節の軟骨や骨が徐々に破壊され、関節の変形や機能障害を引き起こします。

どんな症状があるの?

関節リウマチの代表的な症状は、以下の通りです。

  • 関節の腫れや痛み: 特に手の指や手首、足の指の関節に左右対称に現れることが多いです。
  • 朝のこわばり: 朝起きたときに、手足の関節がこわばって動かしにくくなります。このこわばりは、通常、1時間以上続きます。
  • 倦怠感(だるさ): 関節の炎症による発熱や貧血によって、全身がだるく感じることがあります。

病気が進行すると、膝や股関節など大きな関節にも影響が及び、歩行が困難になることもあります。また、関節だけでなく、肺や血管、目など全身に合併症を引き起こすこともあります。

なぜ関節リウマチになるの?

関節リウマチの原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、遺伝的な要因に加えて、喫煙や歯周病、ストレスなどが発症に関わっていると考えられています。

免疫のバランスが崩れ、炎症を引き起こすサイトカインなどの物質が過剰に作られることで、関節の炎症が慢性的に続くようになります。

治療と自己管理

関節リウマチは早期発見・早期治療が非常に重要です。適切な治療を早く始めることで、関節の破壊を防ぎ、病気の進行を抑えることができます。

  • 薬物療法: 炎症を抑えるために、抗リウマチ薬や生物学的製剤が使われます。最近では、関節の破壊を防ぐ効果の高い薬が開発され、治療の選択肢が広がっています。
  • リハビリテーション: 関節の機能維持や痛みの軽減を目的として、運動療法や物理療法が行われます。
  • 生活の工夫: 関節に負担をかけないように、生活習慣や道具を工夫することも大切です。

「朝、手がこわばる」「指の関節が腫れて痛い」などの症状がある場合は、自己判断せず、早めにリウマチ科などの専門医に相談しましょう。当院では、総合心療内科で担当しています。

フットケア

メディカルフットケアとは、医療的な観点から足のトラブルを予防・治療する専門的なケアのことです。単に足を美しくする美容目的のフットケアとは異なり、皮膚科や整形外科などの専門知識を持つ医療従事者が、足の病気や健康状態を評価し、適切な処置を行います。

どんな人が受けるべき?

以下のような足のトラブルを抱えている方は、メディカルフットケアが特に有効です。

  • 糖尿病患者: 糖尿病は神経障害や血行障害を引き起こし、足の感覚が鈍くなったり、傷が治りにくくなったりします。小さな傷やタコ、ウオノメが壊疽(えそ)に進行するリスクを防ぐために、定期的なケアが不可欠です。
  • 高齢者: 加齢により足の皮膚は乾燥しやすくなり、爪も厚く、もろくなります。また、足の変形や痛みなどで自分でのケアが難しくなるため、専門的なサポートが必要です。
  • 足のトラブルがある方:
    • タコやウオノメができて痛い
    • 分厚くなった爪や、変形した爪(巻き爪など)で困っている
    • 足のひび割れかかとのガサガサがひどい
    • 水虫や爪白癬(つめはくせん)のケアをしたい

メディカルフットケアでできること

メディカルフットケアでは、以下のような処置が行われます。

  1. 皮膚トラブルのケア: 硬くなったタコやウオノメを専用の器具で安全に削り、痛みを和らげます。また、かかとのひび割れや乾燥した皮膚の保湿ケアも行います。
  2. 爪のケア: 厚くなった爪をきれいに整えたり、変形した爪(巻き爪など)の矯正やケアを行います。自分で無理に切ることで悪化させてしまうケースも多いため、専門家によるケアが安全です。
  3. 清潔保持・衛生指導: 足を清潔に保つための正しい洗い方や、日常のセルフケア方法について指導します。
  4. 足の健康チェック: 足の色やむくみ、温度などを確認し、血行状態や病気の兆候がないかをチェックします。

メディカルフットケアは、単なる美容ではなく、足の健康を守り、快適な歩行を維持するために重要です。足のトラブルは放置すると悪化し、歩行困難につながることもあります。気になる症状があれば、一度相談してみましょう。当院では、フットケアサービスを提供する事業者に施術場所を提供しており、サービスのご紹介が可能です。

難病

難病とは、治療法が確立されておらず、原因不明で、かつ長期にわたり療養を必要とする病気のことです。これらの病気は患者数が少なく、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことが特徴です。

日本では、難病の患者さんへの医療費助成や生活支援を行うため、特定の病気が「指定難病」として定められています。

難病の定義

難病の患者さんへの医療費助成制度の対象となる「指定難病」は、以下の4つの要件をすべて満たすものとされています。

  1. 発病の機構が明らかでない(原因不明)
  2. 治療方法が確立していない
  3. 希少な疾病である(人口の一定数以下の患者数)
  4. 長期にわたる療養を必要とする

これらの要件を満たす病気は、厚生労働大臣によって指定されます。

難病の主な種類

難病は非常に多岐にわたりますが、代表的なものには以下のような病気があります。

  • 神経難病: 筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病、多発性硬化症など、神経系の機能が徐々に失われていく病気です。
  • 膠原病・自己免疫疾患: 全身性エリテマトーデス(SLE)やクローン病など、自分の体を異物と誤って攻撃してしまう病気です。
  • 遺伝性疾患: 家族性アミロイドポリニューロパチーなど、遺伝子の変異によって起こる病気です。

難病との向き合い方

難病と診断された場合でも、適切な医療や支援を受けることで、病気の進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることが可能です。

  • 医療費助成制度の利用: 難病医療費助成制度を利用することで、医療費の自己負担が軽減されます。
  • 専門医への相談: 難病は専門的な知識が必要なため、難病を専門とする医師がいる医療機関を受診することが大切です。
  • 生活支援: 障害者手帳の取得や、訪問看護、デイサービスなど、日常生活をサポートする様々なサービスがあります。
  • 患者会への参加: 同じ病気を抱える仲間と情報を共有したり、悩みを分かち合ったりすることで、精神的な支えとなります。

難病は、本人だけでなくご家族も大きな不安を抱えることになります。一人で抱え込まず、医療機関や行政の窓口に相談し、利用できる支援制度やサービスについて確認してみましょう。当院では、パーキンソン病や全身性エリテマトーデス(SLE)などに対応しています。

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